「AMBUSH® DIGS(掘り下げる)」:東京の音楽とカルチャーをつなぐレコードショップ VOL 3.
「AMBUSH® DIGS」は今、東京中に潜むレコードショップに焦点を当てている。
(密接に関わり合う)音楽とカルチャーの世界を橋渡しするこうした隠れ家は、熱烈な音楽ファンたちのみならず、一般的なリスナーたちにとっても熱くニッチな空間と化している。


RECORD SHOP BASE [高円寺]
住所:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-23-5
関連ジャンル:パンク、ハードコア、クラスト・パンク、その他パンクのサブジャンル
高円寺のエクレクティックな街並みに潜むのは、光をかろうじて灯す風化し切った看板。テープで応急処置が施され、黒のマーカーで上書きされた文字は「RECORD SHOP BASE
3F」と読む。東京のパンク好きのオアシスとも言えるその小さな四角い空間には、CD、レコード、グッズ、雑誌などが所狭しと置かれている。ふと顔を上げるとレジェンドたちや昔のアンダーグラウンドライブなどのポスターが貼られ、棚やダンボールの隙間には世界中のレコードショップ、バンド、アーティストたちのステッカーが飾られている。


ビル自体はよくある見慣れた雑居ビルの装いだが、ひとたびRECORD SHOP BASEという名の洞窟へと足を踏み入れれば、そこは日本中のハードコア、ロックンロール、パンク、実験音楽などの愛好家や変人たちの隠れ家そのものである。
ブラジリアン・パンク、Oi!スカンジナビアン・ハードコア、 ドゥームメタルなどは、この店で手に入る数多くのサブジャンルミュージックのほんの一部に過ぎない。本連載ライターがこの店について特に気に入っている点はと言うと、世界の一部地域の新着リリースに目を光らせては逐一ピックアップしているところなんだとか。


高円寺のレコードショップはこれまで何度も取り上げてきたが、その中でも高円寺の音楽界を代表するこのアングラ小宇宙には、間違いなく一見の価値があると自信をもって言えよう。


VIVA STRANGE BOUTIQUE [世田谷]
住所:〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5-1-4
関連ジャンル:ポストパンク、ニューウェーブ、クラウトロック、オルタナティブ、実験音楽
まさに「STRANGE PEOPLE」のための「STRANGE BOUTIQUE」。世田谷の路地裏に佇むVIVA STRANGE BOUTIQUE(名前の由来はドイツのグループLa Düsseldorfのアルバム『Viva!』からなる)は、通な者たちの琴線をくすぐるエフェメラやレコードで溢れている。Neu!やCanなどのドイツのクラウトロックグループ、Throbbing GristleやEinstürzende Neubautenなどのインダストリアルグループの楽曲も豊富である。


インテリアはミニマルな白で統一し、レジェンドたちのメモラビリア(記念品)は丁寧に選別し飾られている。Devoを代表する「Energy Dome帽」、DNAの枕、ヴァセリンズのスリップマット、その他多くの宝物が肩を並ベる。
VIVAはまた、オリジナルのバンド/アーティストTシャツ製作や、アーティスト同士のコラボレーションにおけるバンドやアルバムの美学を巧みに演出したデザイン製作を手掛けることでも知られる。そのポートフォリオは目を見張るものであり、ヴァセリンズ、アズテック・カメラ、Can、Aunt Sallyなどの面影を纏うものが多い。